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一人医師医療法人の設立要件

<一人医師医療法人の設立要件>

 一人医師医療法人を設立するためにはいくつか要件があります。ここでは人的要件と物的要件について説明します。

1.一人医師医療法人を設立するための人的要件について

(1)法人の取締役に相当する理事は原則として理事長を含め3名以上必要となります。そのうち1人が理事長となりますが、医療法人である以上、原則として理事長は医師に限られます。(平成10年4月より、過去5年間にわたり経営が安定的に行なわれているなど一定の条件を満たしている場合には、既存の医療法人において、理事長が医師でなければならないという要件が緩和されています。)

(2)法人の監査役に相当する監事を1名以上おかなければなりません。なお、監事はその医療法人の理事又は職員以外の者でなければならないことになっています。

(3)出資者である社員は一人につき1議決権を持ちますので、社員総会の決議の関係上、社員は理事を含み3名以上必要となります。

2.一人医師医療法人を設立するための物的要件について

 一人医師医療法人は医療を提供することを目的として設立されますので、実体のないペーパーカンパニーでは医療法人として認可されません。そこで医療を提供するのに以下のような物的要件を満たしている必要があります。

(1)資産と負債・出資金のバランスが保たれており、自己資本比率が20%以上であること。ただし、規模の大きい病院などの医療法人にのみこの規定が適用され、診療所などの小規模な医療法人は原則として自己資本比率は問われません。

(2)設立時に預貯金など換金性の高い資産で、2ヶ月以上の運転資金を有していること。なお診療報酬請求の未収入金も運転資金の中に算入することができます。

(3)病医院の土地、建物については、法人が所有することが望ましいとされていますが、賃貸借契約が10年以上である場合には賃借でも差し支えありません。

 一人医師医療法人の場合、医師である理事長と妻、父母の4名で理事及び監事が構成されている場合が多く見られます。また診療所などの小規模な医療機関の場合には自己資本比率も問題とされませんので、設立は比較的容易にできます。ただし、各都道府県によって手続などの取扱いが異なる場合もありますので、ご注意下さい。


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