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医療法人の解散手続きの注意点とは

医療法人の解散手続きの特殊性

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医療法人は、設立後長期的に運営されるのが望ましいですが、医療法人を設立しても解散すべきときがあります。

例えば、院長が死亡し後継者を探しても見つからない場合等はその典型です。

一般の株式会社や合同会社の場合、法人が解散する場合には行政当局の許認可は必要ありません。

この場合は単純に会社法の規定に従って解散手続きを進め,登記を行うことになります。

一方、医療法人の場合には解散を行う場合であっても、解散事由は医療法に定められており(医療法55条)、法律が定めている以外の事由による解散は認められません。

具体的に医療法が解散事由と定めているのは次の7つです。

1.定款をもって定めた解散事由の発生
2.目的たる業務の成功の不能
3.社員総会の決議(社団のみ)
4.他の医療法人との合併
5.社員の欠乏
6.破産開始手続き開始の決定
7.設立認可の取消し

そして場合解散の理由により、行政機関の許認可が必要な場合があります。具体的には上記の2.目的たる業務の成功の不能や3.社員総会の決議(社団のみ)で解散する場合です。

上記の場合は、たとえ誰も解散に反対していない場合でも、医療法に定められて上記の要件に該当しない限り解散はできません。

これは、医療法人は地域に安定的、継続的な医療活動を提供する公益的な役割を期待されているため、理事や社員だけの意向で自由な解散を認めてしまうと、例えばへき地などで医療サービスを受けられなくなる人が出る等の弊害があるからです。

この点医療法人の解散手続きを会社の解散手続きと同様に考え、社員総会で決議すれば会社と同じように簡単に医療法人を解散できると勘違いしているケースが非常に多く見られますので、ご注意ください。

医療法人の解散手続きにあたり事前に検討すべきポイント

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では、医療法人の解散手続きにあたっては、どのようなことを注意すべきでしょうか。

実は、医療法人の解散手続きについては、圧倒的に後継者がいないケースが多いのです。このようなケースでの一人医療法人の解散のタイミングは理事長(医師)の引退、相続のときが多いです。

 そして、解散する前に検討する事項は次のようなことです。

①医療法人を副院長や勤務医師に売却し、患者や職員への影響を少なくし、医療法人を継続する道はないか

②M&Aを検討、つまり出資持分を他の医療法人に売却して、理事長が退職金と持分の対価相当額を受領し、リタイヤできないか

 上記①②を検討した上で、このような方法をとれる見込みがなく、医療法人の解散手続きをとる決断をした場合、次に、個人の財産を保全するために解散対策を講じます。

 (医療法人の解散対策の例)

・理事長、親族職務対価として妥当な範囲で給与を支給する

・退職金規定を作成し、退職金の原資となる資金(生命保険など)を準備する

・医療法人が所有する財産を、理事長やMS法人へ移転する

・法人が不動産を所有している場合、遺言や贈与により、医療法人から不動産を切り離す等の不動産の相続対策を行う

・従業員や取引先に大きな影響が出ないよう、スケジュールの調整等をしっかり行う

(十分な医療法人の解散対策ができなかった場合の対応策)

ただし、上記のような解散対策を行うには、時間が必要です。そのため、時間不足等で解散対策が十分にできなかった場合、次へ移行することも有効です。

①医療法人存続のまま診療を休止にする

②医療法人の運営する診療所を個人診療所へ変更する

時間がない場合は、上記のような方法でいったん時間を稼ぎ、具体的な方策を練る方法も検討してください。

医療法人の解散事由ごとの解散手続き・方法の違い

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医療法人は、解散事由によって,解散までの手続きが異なります。

具体的には、以下の通りです。

1 都道府県の解散認可を要する解散

・目的たる業務の成功の不能

→この「目的たる業務の成功の不能」の意味がわかりにくいですが、例えば客観的に診療ができないような事情があれば、「目的たる業務の成功の不能」状態になったと評価できます。

 問題となるのは、診療休止している場合ですが、一時的に診療を休止している場合は、診療を再開できる可能性があるため、「目的たる業務の成功の不能」にはあたらないと考えられます。

 一方、相当長期に診療を休止しており、後継者となる医師を探しても全く見つからないというような場合は、「目的たる業務の成功の不能」に該当する可能性があります。


・社員総会の決議

→医療法人の解散認可申請をする場合、解散事由は、「解散理由書」に具体的かつ詳細に記載する必要があります。

内容としては、運営実績や解散の動機、解散の手続きについての協議の内容等を記載することになります。

・たとえば、医師がその理事長1名のみの医療法人で、健康状態が悪く診療業務に従事できない事情があり、他の医師を雇おうとしたが雇えなかった等、努力したにもかかわらず、やむをえず解散をするという内容を、具体的かつ詳細に記載する必要があります。この内容が、解散認可申請の許否を決しますので、手を抜かず、しっかりと記載する必要があります。

2 他の医療法人と合併する場合の解散 ※合併認可が必要

・対等合併による解散
・吸収合併による解散

以上の場合、解散・合併の各認可に際し,医療審議会の意見聴取を要するものとされています。

3 その他の解散理由

・定款で定めた解散事由の発生
・社員の欠亡
・破産
・設立認可の取り消し

→定款で定めた解散事由の発生・社員の欠亡の場合については都道府県への届出が必要となります。

医療法人の解散手続きの流れ(大阪府の場合)

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大阪府の場合の大まかな医療法人の解散手続きの流れは以下の通りです。

  1. 都道府県の担当者に事前相談
  2. 申請書類(案)を作成する。
  3. 担当者による申請書類(案)の事前チェック
  4. 事前チェック完了
  5. 押印の上、申請書を提出する。
  6. 大阪府医療審議会に諮問・答申
  7. 大阪府知事の認可(認可書交付)
  8. 解散の登記
  9. 清算人の登記
  10. 債権者公告
  11. 清算の結了登記

まとめ

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以上の通り、医療法人は「地域医療への継続的な貢献」が求められていますので、理事長が解散・清算したくなったら自由にできるわけではありません。定款に定めた解散事由や「正当な事由」が必要です。

この「正当な事由」をめぐって解散時には行政側ともめることがよくあります。

もしどうしても「正当な事由」が認められないような状況で医療法人を解散したい場合は、M&Aを検討するしかないでしょう。

当事務所では、医療法人のM&Aについても案件の紹介、コンサルティングを行っていますので、解散するかどうか迷われている方は一人で悩まず、まずはご相談ください。

医療法人解散・標準業務報酬(費用)税別

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医療法人・解散手続代行サービス:35万円

・解散認可申請、決算人就任登記の届出、解散登記の届出、解散の届出、残余財産の処分許可申請、決算結了の届出等を行います。


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