出資額限度法人とは
<出資額限度法人とは>
出資額限度法人とは、定款を変更して、払い戻しを出資額以下にすることにより、相続税の負担を軽くし、医療法人からの出資持分の払い戻しが可能に出来るようにしようとする制度です。
では、どうして通常の医療法人のほかに、「出資額限度法人」という制度ができたのでしょうか?
それは以下のような理由によります。
まず、持分の定めのある医療法人では社員が脱退するときには、その持分に応じた払い戻しをすることになります。
しかし、例えば兄弟で病院を経営されていた場合に、一方が亡くなられ後継者がいなければ、出資持分についてご遺族は相続税が課せられます。
一方、医療法人側としては多額の出資持分の払い戻しの請求を受けることになります。
このとき、一般的に医療法人の資産の多くが不動産や医療機器などの固定資産であるため、現金で払い戻すことが困難となります。
そこで、医療法人の資産を保持しつつ、相続人の相続税の負担を軽減するため、出資額の限度でしか払い戻しができないようにしたのが出資額限度法人です。
但し、出資額限度法人は解散した場合にも出資額を限度とした払い戻しのみしか受けられず、余剰金は原則として払い戻しできません。
そのため、出資額限度法人は余剰金が国や地方公共団体に帰属することになってしまうというデメリットがあります。
このように出資額限度法人も一長一短ですので、慎重な対応が必要です。また、医療法人制度は刻々と変化していますので、どの法人形態がよいのかの見極めも大切です。